DON JUAN DE MANARA
                                     MIGUEL MANARA
                                   Music by Henri TOMASI
                  Libretto adapted by the composer the play by MILOSZ
                                  歌詞は MILOSZ の劇に基づく


                                        ACT ONE
                                        PRELUDE
                                        SCENE ONE

セヴィーリャの囲舎にあるDon Jaime(ドン=ジェイム)の城の立派なホールでは、宴が進行中である。
客のほとんどは、酔っ払っている。ドンジェイム…背の低いずんぐりした粗暴な顔立ちの男が、いすの
上に立ち上がり、しわがれ声で使用人と酌人を叱り飛ばしている。
DON JAIME:おや?私のお客であるDon Miguel de Leca(ドン=ミゲル=ド=レカ)は喉が乾いて死にそう
か?おい、もっとワインを持って来い!それとも、おまえを地獄へ追放してやろうか!
(ワインが運ばれる〉
MIGUEL:いまいましい、やかましい愚か者め!悪い冗談は止めて座りなさい。
DON JAIME:悪党よ、こちらへ来い。おまえは私たちのみんなの主人だ。おまえのそばに、おまえ
の影のそぱにさえいる私たちは一体何だ?つまらぬごろつきか?おまえは悪党と呼ぱれて当然
だ。それにしても今夜の彼は何と素晴らしいことだろう!Ellenor,Blanca, Lorenca, Inesile,
そしてCinthia,おまえたち皆彼を見なさい!おまえたちあばずれ女、今までこんなに高貴な顔
立ち、輝く瞳に出会ったことがあるか?
私の息子よ、これまでに何人の公爵夫人がおまえの犠牲になってきたか教えておくれ。
VOICE(声):そうだ!何人の犠性者?
MIGUEL:6人。
A CH0IR 0F V0ICES:どれだけたくさんの高位の公爵夫人?
MIGUEL:7,8,9人、もし愛の神が私を欺かないならば。
D0N JAUME:そして何人の売春婦たちを?
MIGUEL:私を本当に愛して、心から絶望して死んでいった人が一人いた。
ALL OF TEHM(全員):栄光あるミゲル、地獄へ落ちろ!
(騒々しい嘲笑、大声と銀食器とガラス器のカチャカチャ鳴る音)
MIGUEL:私は、私の幸福を大変深く祈り、願って下さる皆さんにお会いできて光栄だ。私は奇異
にも自分自身のこのくだらない人生が嫌になった。神のそばに近付けないことは取るに足らないこ
とであるが、しかし悪魔を見失うことこそが計り知れない苦席と倦怠の本当の原因だ。私ば情欲の
ために退屈な探求をしながら恋愛を卑しめてきた。私ば泥沼の中を、そして死の人生を転げまわっ
てきた。私は、本当に裏切り、冒涜し、苦しめ、殺してきた。これらのことは私のように貧しい悪
魔によってすべて成ざれてきたことであり、見なさい!
私は悪魔の支配から逃れてきた。私は完全に絶望しており、ヴィーナスヘの奉仕のために力を尽く
し、ずるざゆえ、その過程でただ憎しみだけを得た。
私は今、全くの退屈さから彼女の首を幸ぜに絞めるだろう。ある夜、彼女の瞳に堕落した煩悩が宿
り、私のベッドに座り、沈黙の中で死んだように私を見つめた。
DON JAIME:私たちには実に素晴らしい牧師の友人がいる。Bleelzebubの最も学識ある医者だ。
DON FERNAND(ドン=フェルナンド)(低い声でミゲルに身を乗り出す);私がこんなに年老いて
白髪にもかかわらずここにいる理由は、ミゲル、おまえを長い間監視してきたからだ。おまえの母
は、徳のある女性だった。おまえの父は、勇敢な紳士だった。神にも王にも忠実であった。彼は私
の腕の中で死んだ。私を真っ直ぐに見なざい、ミゲル。私はおまえのことを臆病で裏切り者だと話
してきた。
MIGUEL:ドン=フェルナンド、あなたは酢っ払っている狂っている、それとも生きることに疲れた
のか?
DON FERNAND:おまえは知っているだろう。私は最も神聖な目的のために闘いながら生きてきたし、
年をとってきた。そして私は決して剣を手放すことはない。
おまえは卑怯者で、裏切り者だ。誰であろうと女性を苦しめる者は卑怯者だ。
おまえは紳士なんかではない、ミゲル、おまえは下劣な男だ。
おまえの父が生きていたら、おまえの顔に唾を吐きかけるだろう。しかし、彼はもうここにはいな
い。観族の名誉のために。
(彼は顔を手で覆った。長い長い沈黙のあと、深く感情を込めた調子で〉
ミゲル、私の息子よ、間きなさい!我が子よ!私は年老いた息か者だ!ミゲルよ!
おまえの高い額、自尊心溢れる瞳。手を貸しておくれ。さあ、不幾嫌な顔をするな。
〈彼はミゲルの手を見る〉
間きなさい。セヴィーリャに古くから貴族に仕えているあるつつましい家がある。その人はずっと
病を患っている。Grillo de Mendozaは、長く続く病を癒やすためにたった一人の娘しかいない。
そう、その少女の名はGirolama(ジロラマ)。彼女は高貴でとても優しく、そして美しい。
おまえは一度も教会へ行ったことがないだろう?まあ、おまえは次の日曜日ミサヘ行くだろう。
おまえが行くならば、そこで会おう。必ず来なさい、我が子よ。教会はla Garidadだ。
(ドン=フェルナンド退場、しばしの沈黙。ほとんどの客はホールを去り、何人かは肘掛けいすで
眠り、何人かはテーブルの下で眠っている。細いろうそくがかすかに火を燃やしている。夜明けが
近い。影がカーテンに映り、ミゲルが現れる。〉
THE SHADE(影)(女性の声で):災いな愚かな意識ある男、神の栄光が見えない。情熱の苦しみ
よりも空虚な退屈を重んじる。それとも、退屈な空虚への情熱の苦しみを好む!
MIGUEL:幽霊?おまえは誰だ?
THE SHADE:私はおまえの過去の人生の亡霊だ。
(急いで場面転換)


                                   INTERLUDE
                                   SCENE TWO

セヴィーリャのGarillo de Mendozaの家の真ん中の庭。
GIROLAMA(無邪気に):彼女が亡くなったとき、私は12才じゃなかったわ、ミゲル。純粋な心と冴
えた頭で、あんなに立派な最期だった。私は何度も自分自身を責め、たくさん泣いた。
MIGUEL:ああ、ジロラマ。僕は今までこんなに静かな家に住む君のように若い女性に
出会ったことがないよ。君の人生はなんて悲しいことだろう、ジロラマ!
GIROLAMA:私には同世代の女友達がいないの。ええ、ほらね、私は彼女たちの生き方とか悲しみ
方が好きではないの。彼女たちはまわりの男性のことばかり話しているけれど、私し男性が好きと
いうわけでもないし、男性との恋愛について話すのも好きではないわ。
MIGUEL:ジロラマ、花は好き?僕は君が髪や祥服に花を飾っているところを見たことがないよ。
JIROLAMA:私は一度も髪に花を差したことがないわ。花は美しさゆえに生きることを許されてい
るのです。恋愛の素晴らし、相手を無くすことも求めることも、愛をガラスの箱に閉じ込めること
もせず、人は恋愛をするのでしょう。
MIGUEL:君はなんて愛らしく初々しい人だろう、ジロラマ?君の心は、本当になんの陰りもな
いのかい?君は一度も腹を立てたこともないのか?
GIR0LAMA:ええ、そうよ!この花に対してさえも私はとても愛しています。でも、そのラテン
名が灘しくて覚えられないの。私はあなたの我授強さをきっと利用しているわ、ミゲル。あなたは
きっと私のことを落着きがなくてよくしやべる子だと思っているわ。
MIGUEL:お願いするのは僕のほうだ、ジロラマ。君の人生のことを教えてくれないか。廿い生活
を、美しく不幸な花よ!君の手を引っ込めないで。僕の胸の上に置いて。僕の心臓の鼓動が僕の
声が伝えなくても君に語りかける。僕は、あなたに初めて会ったその日からとても変わった。
GIR0LAMA(簡単に〉:私はあなたが悪い男の人だと知っているわ、ミゲル。あなたはたくざんの立
派な淑女たちを悲しませてきたわ。でも、その女性たちは罪深くてあなたを愛しているかのように
振る舞っていたし、あなたが彼女たちを愛することさえ許していた。そしてその誰ともあなたは永
遠の愛を誓わなかったし、ドン=ミゲル、だから誰一人としてあなたから指輪をもらった人も魂を
永遠に結ぶことはできなかった。ああ!彼女たちは自分たちが何をしているのか、とてもよく理
解していたのよ。披女たち全員が!
MIGUEL:それ以上言わないでくれ!君の声が僕を脅かしているよ、ジロラマ!
まるで、夏の光線が夜の翼と一面の忍び寄る影に見守られている場所を照らすかのようだ。僕はあ
る日、Sister of Mercyがひとりでいけにえ達の処刑のために準備された赤い場所へ冒険するのを
見た。こんなぷうに、君の声が、ジロラマ、僕の悪徳な心に染み透る。
GIROLAMA:私はあなたが私のことをとても気の毒に思って下さっていることをよく分かっていま
す。でも私はあなたを怖がってはいません、ドン=ミゲル。私の心の中の何かが、私はあなたの妹
だと言っています。私はあなたが時々祈るように、小さな動物を見つめるかのように私を見ている
ことを知っているし、そんな時はいつも私は微笑んでいたわ。あなたは女性は弱いと言う。そう、
確かにそうだけど、空を飛ぶ鳥や野原を駆けまわるネズミのように、思うようには捕まえることは
できないのよ!女性たちは自分が何をしているか完全に知っているし、神様が彼女たちの心を見
捨てて、もはや連れて行く価値がないとされるまで従わない。私は自分がしていること、言ってい
ることをちやんと分かっています。私はここへたった一人で来るしかなかったのでしょうか?
MIGUEL:ああ、君の言うことは正しいよ、ジロラマ。僕はもはや以前の僕ではない。とても良い
気分だ。まるて君が僕の心にランプの灯をともしたかのようだ。ここにいる僕は、暗闇の中て眠る
病気の男のようで、やがて美しい部屋で目覚めて、すぺては円滑に進み、明るい音禁が流れている。
そんな僕の心の平和な安息の場所が君を通じてやってきた!
ありがとう。心から感謝するよ、ジロラマ!何て優しい妹よ!
君はほんの前に言わなかったかい? 君は僕の妹だと。
GIROLAMA: あなたはまるで暗闇の麹の中から救い出された男の人のようだわ。まだ弱っていて
驚いてばかり。
あなたの妹が、あなたが前に進むための支えになって神様に祈ることは絶対に必要です。あなたは
やっと海の苦い水の中から助け出された人ではなくて?
MIGUEL:そうだ、君の言う通りだよ、優しい僕の妹、ジロラマよ。ああそうだ。君は本当に僕だ
けの妹だ。
・・・・・・いや、上手く表現できないが、僕の声は・・・・・・心も人生も、もはや僕のものではない。
君の、妹のように気高く妻のようなその手を僕に下さい!
GIROLAMA: あなたは女の子それとも女性に対して話しているの?気を付けて、神様は聞いてい
るのよ、ドン=ミゲル。
MIGUEL:僕は一人の女性に対して話しているよ、ジロラマ!僕たちの頭上に広がる香りのよい
天蓋のような、喜びの澄んだ空の下にいて。僕はあなたと話している、ジロラマ!あなたは何て
素晴らしい。本当に素晴らしくて敬服するほどだ。
僕は自分の人生で何をしてきたのだろう。僕の心はどうなっていたのだろう?なぜもっとはやく
僕の魂は健全だったことに気づかなかったのだろう?君は僕を許してくれるかい?
GIROLAMA:私は、心からあなたを許しています。立ってください。
MIGUEL:君の手は?
GIROLAMA:あなたに私の手を差し延べなければと、それが私の義務だと感じています。
MIGUEL:君の心は?君は僕の幸せのためにそれを捧げることを拒むのかい?聞かせて、君の心を。
GIROLAMA:私の心はもはや私のものではなくて、差し上げるためのもの。
MIGUEL:君の素晴らしい慎ましさ、気高さを僕にあずけて、ずっと一生僕のそばに居てくれるかい?
GIROLAMA:ずっといつまでも。
MIGUEL:僕を愛してる?君の僕への愛は、男と女の瞳に映る敬虔なものかい?
GIROLAMA:神様の瞳の中に映っています。


                                        CURTAIN
                                        ACT TWO
                                       SCENE THREE

  3ヶ月後。セヴィーリャのミゲル=マニャーラの屋敷の一室。
ジロラマは白いベッドに横たわっている。花も飾られずに。
4本のろうそくが燃えている。ミゲルは身動きもせずに部屋の暗い片隅にうずくまっている。

FIRST SPIRIT(霊)(男の話声で):翼の中にいる。
彼女のまぶたはかたく閉ざされている。彼女の顎もかたく動かない。
彼女の腕は胸の上に交差して置かれ、手には小さな十字架を握っている。頭は枕の上に置かれ、衣服
にはしわひとつなく、足は閉じたまま横たわっている。
私は自分の仕事に満足している。
SECOND SPIRIT(男の歌う声で):翼の中にいる。
棺が運ばれる。私は見た。それは分厚い銀で出来ているが、二人の力持ちの男が簡単に持ち上げた。
まるで子供の棺であるかのように。
MIGUEL:人々よ、話声を立てずに祈ってください。静かにして下さい。
あなたがたの仕事に誤りはありません、皆さん。しかし、これ以上どうか私の愛する私から離れて
行ってしまった人のことを話さないで。私は彼女が死んだということを分かっているけれど、そんな
ふうに話すのはやまてくれ。
THE SPIRIT OF THE EARTH(地球の聖霊)(男の歌う声で):彼は自分に似た男どもと私たちを間違えて
いる。彼の内なる想いの閉じた本からの読物は大きな愛である。彼は気の毒ではない。人間は大地に
帰するのだ。彼は地球の聖霊を崇拝しなければならない。
(ドン=ミゲルに向かって)
粘土の人間よ、おまえの哀れな顔は涙でびしょ濡れだ。起き上がって見渡しなさい。おまえは一人
ぼっちだ。
MIGUEL:もし私の中の狂気が私に言葉を思いつかせているならば、もし私に聞こえてくるものが
発狂した者の声ならば、あなたのせいだ、神よ!彼女の膝の上に私の狂気の頭を置いて、私の耳元
で歌っておくれ。私の子供、私の小さな子供よ!私は若い女性に揺り動かされることもないだ
ろう。彼女の腕は死んだように冷たい。
(静かな休止)
私の友よ、どうか彼女に言わないでくれ。私が泣いていることを。彼女は私が泣いていることを知らない。
彼女の哀れな心を引き裂いてしまうから、私が泣いていると言わないで下さい。
THE SPIRIT OF THE EARTH:立ちなさい。話しなさい。動きなさい。泣きなさい。
おまえの喪服は用意できている。おまえは威厳をもっておまえの墓へと旅立たねばならない。途中
の泥の水溜まりに気を付けなさい。
MIGUEL:私は小さな子供のように教会までづっと柩について歩きます。私は哀れな不幸者だ。私は
自分のせいで他人に腹を立てて欲しくない。私は川の近くへ行き、ヤナギの森の中で首を吊るつ
もりもない。神により禁じられていることは決してすまい。神は私を創造し、生きることこそが私が
どうしてもしなければならない義務なのだ。
THE SPIRIT OF THE EARTH:地球について考えなさい、苦難の子よ。
すべては妄想である。おまえは長い人生を生きなければならない。これが私の楽しみの源だ。そし
て、おまえの年老いた骨が痛みおまえの頭が白髪に変るとき、ある朝おまえはいつもより早く起きて
灰色の夜明けにぼんやりとランプの灯をともし、そしておまえの最後の仕事をするであろう。
FIRST SPIRIT:しかし、おまえは門の前で樹皮を剥がれた枝のように崩れ落ちるだろう。そして
大きな冷たいベッドがおかれていることだろう。
THE TWO SPIRIT:しかし、その素晴らしい日までおまえは生きなければならない。
(聖霊は立ち去る。長い沈黙。時を打つ音が聞こえる。)
MIGUEL:おお、不幸よ、なぜあなたは私を生んだのか?なぜあなたは私の頭を二つの岩で殴らない
のか。不幸よ、あなたは私の母だと言う。でもそれが本当ならばこの悲歌はどちらの地獄から
聞こえてくるのだろう?あなたが私を涙で揺れ動かし、その悲しみにくれた瞳の中で夢を見させて
いるのですが?呪われし子宮、呪われし脳よ!母よ、母よ、私はすべてを失った。私の中の
すべてを。
みだらな欲望は涙に変り、私は恐怖と死の父となった。おお、不幸よ、我が母よ。
あなたは私に何をしてきたのか?
(沈黙)
THE SPIRIT OF HEAVEN(天国の聖霊)(女性の歌う声):マニャーラ!マニャーラ!
MIGUEL:私を呼ぶのは誰ですか?その声を私は知っている。どこで聞いただろう?まるで
年老いた男の心に新たにこだまする、生まれたばかりの赤ん坊の泣き声のようだ。
THE SPIRIT OF HEAVEN:マニャーラ!マニャーラ!喜びなさい!
MIGUEL:聞こえない。もっとはっきり話しておくれ。
THE SPIRIT OF HEAVEN:目を開けなさい。
(しばしの沈黙。窓の外を行列が通り過ぎる)
この最終章は全体を通して、セヴィーリャのキリスト聖体節の聖なる木曜日を魔法で呼び出すための
ブラスバンドにより奏される。
→死んだような汗の雫が彼の瞳に溢れる。彼は最後の瞬間を一考することもなく、十字架の重圧の
下、前で進んで行った。
この場所は出会うべきところではないのか?人の子よ、答えておくれ。
この国の水は目の見えない人の瞳のようだ。
この国の岩は王の心のようで、木はあなたに突き出された苦悶の杭のようだ。
彼はパンをちぎってワインを注いだ。これは彼の肉だ、彼の血だ。聞こえる者は皆聞きなさい。
彼は祈った。そして起き上がった。彼の最愛の連れ添い人は、オリーブの木の下に眠っている。
・・・Simon、眠っているの?
彼は泣き声を上げ、起き上がった。
(コーラスとsoli)彼の小さな子供はオリーブの木の下で夢を見ていた。そのあと、眠りなさいと
人の子は言った。彼らは剣とらんたんを持ってやってきた。
「ようこそ、主人。」
兄は弟の頬に口づけした。右の耳は切り落とされていたが、ここで元通りに治療されたので再び
その男は耳が聞こえるだろう。
雄鶏が二回鳴いた。もはやそこに愛はなく、すべては忘れ去られた。雄鶏は私の心の孤独に向かって
鳴いた。
王冠が頭の上にある。手には葦を持ち、顔は唾と血で見えないほどだ。
万歳、ユダヤの王よ。衣服は分け与えられ、泥棒たちは死んでいる。
「喉が乾いた。」
命の声が叫ぶ。しかし、海綿は落ちてしまっていて、彼の廻りには穴が空き、すべては終わる。←
THE SPIRIT OF HEAVEN AND CHORUS:彼は生きている神の子であり、この世が終わるまで私たち
と一緒にいるであろう。
MIGUEL:アーメン。
                                       CURTAIN
→ 〜 ← は”Processin du Saint-Jeudi"の歌詞になっている。


      
                                        ACT THREE
                                        SCENE FOUR

ざんげ。セヴィーリャのLa Garidad僧院の客間。
MIGUEL:(僧院長の足にすがりながら):師よ、私は聖なる避難所と保護を探してやって参りました。
THE ABBOT(僧院長):誰からですか?
MIGUEL(荒々しく):自分自身からです。
THE ABBOT:それより君は誰だ?
MIGUEL:マニャーラです。
THE ABBOT(後ずさって):ここは君の来るような場所ではない。君は悪のにおいがする。
MIGUEL:私が無に帰せたのは神の愛のおかげです、師よ。(彼は師の膝に倒れ掛かる)
THE ABBOT:君は何のためにここへ来たのか?
MIGUEL:用心深い神の宣告によって、心の気高さ、真実の愛のために。
THE ABBOT:置きなさい。私は君の罪深さを知っている、ドン=ミゲルよ。だが、君の暗いざんげ
の言葉を、嫌なことを口からどっと吐き出しなさい。話しなさい。
MIGUEL:私は6日間働いていません。何もしていません。そして7日目に出来たことと言えば、
私を生んだ世界と創造主を冒涜し、侮辱したことだけでした。私の父は私を追い出し、母は深く悲しんで
死にました。私は眠りました。そして数え切れないほど叫びました。私は愛の中にいて、そこでは私の
体の中のものすべて嘲笑に震えていました。
私は盗みました。その花の無垢さを奪いました。しかし、後悔が押し寄せ、そして私は取り返しの
つかないことをしました。私は人を殺しました。すべて私のしたことです。彼女は死にました、師よ。
(沈黙)
(感情を込めて)
それから、一人の女性が悪の歪んだ道に現れました。彼女は夢見る海のように穏やかで、空から差す
光のように美しく、小さな子供のように無邪気に笑いました。彼女は神について話してくれました。
祈り方を教えてくれました。ある夜私は彼女の祈りの言葉を子供のように繰り返しました。
ジロラマという名の女性でした、師よ。その女性はとても優しくて私だけのもので、彼女は死に
ました、師よ。
THE ABBOT:ああ、泣きなさい。
MIGUEL:まだすべてをお話していません、師よ。
THE ABBOT:私は長い間君を見守ってきました。私たち僧侶は、すべての物事を見て、私たちの目
は日課祈祷書を見ています。聞きなさい、君。
受難とはどういうことか知っていますか?君は私がどのように堪え忍んでいるか知っていますか?
来なさい。心配することはない。
MIGUEL:私はあなたの大きな同情に敬服します、師よ。私は恥ずかしい。今まで私に対してあなた
のように話して下さる人は誰一人いませんでした。
THE ABBOT:ああ、何人かはそうだっただろうね。
君はとても愛されていました。愚かな者よ、分かっていますね?大部分、君はやさしく話していましたね。
君は偶然恩知らずになってしまったのか?いや、そうではない。君の言うことは君の虚栄心の
せいなのです。
MIGUEL:どういうことですか、師よ?あなたは閉じられたページからこのように私に話して下さる。
THE ABBOT:起きなさい。私は君に僧院の独居室を用意しよう。聞いていますか?愛と急ぎはお互い
折り合わないのです、マラーニャ。愛野大きさを示すものは、人がどれだけ我慢できるかということ
です。愛の進行は若い女性の腕に寄り添って二本のジャスミンの垣根間を進んで行っても、
一人で二つの墓の並んでいる間を進んで行こうと、ある変らない確かな速度を持っているのです。
耐えなさい。長い人生がずっと続きます。子供時代と教育、若者の時代、教育、物事の本当の
大きさと価値を知りたいと思う大人の時代、死に対する愛で示されるぐずぐずした老人の時代は
すべて等しく必要不可欠なのです。
君は勝手に祈ってはいけない。君は純真に慎ましくうたわなければなりません。そして、待たねば
なりません。
君の狂気の最後の夜の閃光から脱出し、最初の朝が訪れるでしょう。
ああ!君が、人の体それ自体が歌声になり、神の自己崇拝の声になるとき、神に何を言うべきか
知っていたら!
君の表情は人の話しを聞くことのできる物のものではない、ミゲル。君は自分の傷について考え過ぎ
ています。なぜ傷つくことを恐れるのですか?なぜ自分を見つけてくれる場所を知る人を失うこと
をそんなに恐れるのですか?後悔と苦しみを混同してはなりません。後悔と愛は個々のものです。
私はいま必要とされている秩序を与えるべくここを去ります。(僧院長退場)
MIGUEL:ここには月があり、地球がある。ここには大きな弱さと哀れさに包まれた男がいる。
しかし、たとえこれらすべてが存在していようと、私はあなたが誰であるか分からない。私の愛
するあなたの他に、どこを探しても美しいものは存在しない。夢は消え、情熱は力尽き、記憶は跡
形もない。愛だけはそのままである。私のあなたに対するこの愛ほどに誠実なものは他に何もない。
本当に、私のあなたへの愛の他ない。あなたの中にある私の愛の内在のほかに、不滅なものなど何も
ない。あなたの大きな愛が私の心に灯をともす。あなたの大きな愛だけが、私の確かな・・・・・。
おお、涙よ!おお、憧れの永遠よ!おお、楽しみよ!ああ、許しておくれ!私を愛しておくれ!


                                        INTERLUDE
                                      
                                    LITURGICAL FANFARES

                                         SCENE FIVE

セビーリャのGaridad教会の前。日曜日に意気揚々と集まる人々の群れ。la Garidadの二人の
僧侶がステージの中央に立っている。
THE CHORUS(教会の中で):Gloria Deo.Christe vincit・・・ Gloria Deo vincit・・・
(違うグループの人々がミサを終えて教会から出てくる。)
ミゲル先生は、なんて徳のあるお方でしょう・・・・・なんと心のこもったお話でしょう!
なんという雄弁家でしょう。おお、ミゲル先生は!なんて徳の高い方・・・・なんて雄弁な、なんという
言葉・・・・・・彼の言葉は優しく・・・・・なんて雄弁な人、どんなに雄弁なことでしょう・・・・・ああ!
なんて徳のあるお方でしょう、ミゲルは、神のミゲル先生。そして、私たちに人の子について
話したとき、彼の言葉はなんと乳母らしく、彼の声はなんて優しかったでしょう!マニューラは
なんて徳のあるお方でしょう。
THE FIRST FRAIR(僧侶):あなたはどう思いますか?私にとって実際に心得を述べるということは、
あのような簡潔な言語が頭と心を神のことでいっぱいにするということです。
THE SECOND FRIAR:あなたと同じ様に、私はその特別なお話を最後までずっと聞きました。飾り気
のない話しは確かに聞き手を魅了し、うっとりとさせることができるけれど、露骨すぎる話はしば
しば反感を呼びます。
THE FIRST FRAIR:私があなたに反論することは、確かに適切なことではありません。しかしながら、
あなたは彼の言葉が徳の高い啓発であることがわかり、心から発せられていること、人々が心の
中にそれぞれの道を見出せたことを認めねばなりません。彼の憎むべき過去、激しい後悔、哀れな
愛が、彼に夜明けとともに走り出させ、彼の手に聖なる盃を施したのです。しかし、彼は行ってしまい
ました。
THE SECOND FRIAR:何だろう?
(Johannes Melendezというびっこをひいた乞食で、彼の体は抑制され、奇形で、教会の外を哀れにも
よろよろと歩いている。彼は怒鳴り声と嘲笑にさらされている。)
A MALE VOICE(男の声):ここにあの年老いたかたわ者がやってくる。彼は教会を頻繁に訪れている。
こいつがJohannes Melendez、神の怒り触れた年老いた泥棒である。ここに集まりなさい、皆さん。
この連祷(司祭の唱える祈願に会衆が唱和する形式)ののちに笑うことになりましょう。
A CHILD’S VOICE(子供の話し声):ぼくはやつの歯めがけて石を投げるぞ。ぼくの犬が昨日やつに
噛み付いた時、やつは優しくなだめるような声でぼくを呼んで、何も知らないでぼくのこと殴ったんだ。
(石はヨハネスの胸の真ん中に命中し、彼はうめきながら倒れた。)
MIGUEL:神よ!彼らは哀れな病気の年寄りに攻撃し、そして私にはキリストの顔が喜びで明るくなって
いるのが見えます。
ヨハネス!ヨハネス!聞こえますか?
JOHANNES:あなたはマニャーラ。聖なる僧侶。私はあなたの声が分かります。素晴らしい声です。
MIGUEL:ヨハネス、あなたの魂を神に委ねなさい。あなたの顔は死んだ人間のようです。
JOHANNES:ああ!時は刻まれていなかった。私は長い昼と夜を生きてきた。虫のようにはいまわ
り、車輪のきしりのようにひいひい泣き、空っぽの骨を求めて野良犬と争ってきた。罪滅ぼしと
は、長たらしい仕事ですね、先生。
MIGUEL:とても長いものです、ヨハネス。しかし罪滅ぼしをすることは同時に喜びでもあり、
甘いものでもあります。あなたは神の敵であるかのように話してはいけません。
JOHANNES:私は長い間神に敵対してきました。父が強盗だったように、そして母が売春婦だったよう
に。私が8才の時、牧師が同情して私に神やキリストや聖霊について話してくれて、私はひどく
泣いていました。愛情に満ちた甘い時がやってきて、私は、私のように荒れていて軽蔑されていたが、
それでもなお、ある若いジプシーを好きになりました。彼女は私に同情し、彼女の仲間たちは犬の
ように彼女をおいていってしまいました。なぜなら、彼女のキリスト教まがいなものへの愛からです。
それから、私は彼女の甘い口に食べ物を与えるために盗みを働くようになりました。ガリー船
(奴隷にこがせた中世の帆船)に乗った私の人生は、ゆっくりと私の骨を食い荒らし始め、すぐに
私の足は雨に浸された洗濯物のように柔らかくなってゆき、私は一対の杖と共に岸へ打ち上げ
られ、私はここへ死ぬべくしてやってきました。神が私を生み出されたここへ。
MIGUEL(返答がコーラスにより歌われる):神よ、神よ、私はCapharnaumからあなたを呼んでい
ます。
神よ、私はGadarenianの国へ声を高らかにして叫びます。
神よ、おお神よ、私はGenerazethの国におります。
神よ、私の考えは TyreとSidonの国境の果てからあなたに届いています。
神よ、神よ、私の声はDecapolisの国からあなたに呼び掛けています。
神よ、神よ、私の叫び声はBethsaidaから天に向かって送られています。
神よ、おお神よ、Jordanを超えてユダヤの国境まで私を助けに来たまえ。
(びっこをひく者に対して)
あなたは人の手によって苦しめられてきたのですね?ヨハネス。
あなたは神にどちらの名前を捧げようと思っていますか?あなたは彼を、痛み(Pain)、
正義(Justice)、それとも復讐(Revenge)と呼びますか?
JOHANNES:私は彼自身の名前を捧げます。あなたがたった今自分自身のことを呼んできたように。
MIGUEL:それは何ですか?
JOHANNES:愛です。
MIGUEL:杖を捨てなさい。
(ヨハネスはしばしちゅうちょした後に、杖を投げ捨てた。)
起きなさい、そして歩きなさい。
(ヨハネスはゆっくりと起き上がり、前をじっと見つめながら、教会の正面へ向かって猛然と走った。
大声で叫びながら。
JOHANNES:ホサナ!ホサナ!(Hosanna=賛美の叫び)
(Garidadの僧院長と僧侶たちはミゲルの僧衣に口付けをした。人々は叫んだ。奇蹟だ!彼らの
膝元にひれ伏し、僧侶の恵みを懇願した。)
THE CHORUS:奇蹟だ、奇蹟だ、奇蹟だ、奇蹟だ、栄光あれ・・・・・・


                                      CURTAIN


                                      ACT FOUR
                                      SCENE SIX

  Garidad僧院の中庭。夜の最後の瞬間の静寂。空には星がちりばめられている。間もなく日が昇
ろうとしている。
  小さなドアが静かに開く。ミゲルが現れ、手にランプを持ち、方からカバンを掛けている。彼は
とても年老いている。髪は白く、手が震えている。彼は杖に寄り掛かっている。
MIGUEL:おお、我が心よ!おお、我が子よ!おまえは眠れなかった。そしてここは太陽が照らして
いる!一日が始まった!なぜ昨日の月がまだ同じ空に立ち去らないでいるのだろう。あなたは
永遠に去ってしまった夜の雫の冷たい涙の下でひとりきりだ。刈られた柴のような昨日の考えと
ともに孤独だ。
おお、悲しい顔よ!おお、厳しい来世よ!
(沈黙)
すべて話されていない、すべては行われていない。祈らなければ、行動しなければ。
果てしない核心と心配の心は、水上で壊れた翼が出す音のようだ。
すべての夜。すべての夜長く、心配は私ののそばに、ずっと愛のために滅んできた愛する妻のように。
(沈黙)
おお、朝の月よ!あなたの顔は不思議な予言者のようだ。飢えた男は彼の息をつかまえ、ごくりと
飲み込み、そして彼の怠惰な弱さの海の中に眠る。
(Optionl cut)
・・・・・・病気の労働者は道具を集めている間、咳をしている。
捨てられた少女は屋根裏部屋が恐怖で溢れていることを知り、彼女の妊娠した子宮にびっくり仰天
しているかのように見える・・・・・・
(沈黙)
神よ、おお神よ、日々の願いを叶えたまえ!天よ神よ、私たちに日々の勇気を分け与えたまえ!
(沈黙。地平線から日が昇る)
沈黙は夢見る林檎の木の匂いがする。空気は天使のローブをまとう。土の呼吸は牛のあくびのよう
だ。壁はアーモンドの木の色に染められてゆく。
夜明けだ。
(Optionl cut)
・・・・・・井戸は怠惰な学生のようにうまる。木霊が水の底から聞こえる。水運びがやって来る。馬小屋
のわらの寝床は、押されたり引っ張られたりしている。鶏が心の苦悩を吐き出すように鳴く・・・・・・
一日が始まる。地球よ!愛する地球よ!
(彼はランプの灯を吹き消し、注意深く耳を傾ける)
ベルが聞こえる。1,2,3,4,5!僧侶たちの時間だ。
ラッパの音が聞こえる。兵隊達の時間だ。
(彼は通りのドアへと向かう。しかし、突然入り口が持ち上がり、黒いマントに身を包んだ人影が
現れた。)
THE SPIRIT OF THE EARTH(男の歌う声):止まりなさい。
MIGUEL:私はこの人を知らない。しかもドアは閉まっている。彼が堀を超えて飛んでこれるはず
がない。
THE SPIRIT OF THE EARTH:あなたはいつもより早く目覚めましたね、マラーニャ。あなたは小さな
ランプに灯をともし、祈りました。そして今、あなたは自分お仕事を仕上げるはずです。
MIGUEL(思い出しそうとしながら):私はきっと歩きながら夢を見ているようだ。しかし私はその声
に聞き覚えがあり、その言葉を思い出せるのだ。それは、もうずっと以前のこと。
しかし、そんなことは時間の無駄です。おいでなさい、年老いた魂よ、さあ!
THE SPIRIT OF THE EARTH:止まりなさい。ゲームは長く続き過ぎた。すべては定められた時間を
経たのだ、マニャーラ。若者の時代、年老いた時代。そして、死がやってくるのだ。
地球の聖霊はこのように話している。
MIGUEL:私の目の前にベールがさまよい、私の足が砂の中へと沈んでゆく。私の胸、私の喉は不安
に縛られてゆく。
THE SPIRIT OF THE EARTH:私は地球の聖霊である。
予告する。私を見なさい。幽霊のような名前はおまえの口にある。私は存在している。これが私の
本当の最終的な姿だ。地球界の君主がおまえの前に立っているのだ。
私の存在を認めなさい。
(彼はマントを翻した)
MIGUEL:おお!なんて恐ろしい顔だ!おお!なんて青ざめた顔だろう・・・・・・
THE SPIRIT OF THE EARTH:→私は本当に実在しているものである。私は地球の核である。他の
すべては架空のものである。広大な子宮を持った地球が、なぜ幻影の追求者であるおまえを嘲笑う
のかを聞くがよい。その耳に彼女がささやくことを聞くがよい。
『私について何を知っているのか、おまえたちよ。私は自らが発する匂いの中で彼らが好むもの
に対して高い代償を負わせている。
おまえ、おまえは私の愛する者、そして主人だ!私はおまえに金の神秘と血の匂いを愛する素晴ら
しく立派な子供を運んでこよう。そして、おまえのように下品な風貌に形作ろう。
おお、私の愛、彼らは卑しい苦難の中で喜びを探すことだろう。』
・・・・・・このように地球が神と愛する者に語る・・・・・・
  『私は、その子供のために真紅のベッドを作り、彼女の乳房は街の噴水のように行き交う人々を
誘うだろう。そして、私の娘はその重みによって落ちるザクロの実のように美しいだろう。
彼女の舌は踊るヘビの頭のようで、彼女の楽しみの時間により投げかけられた影は、彼女の顔に
刻まれるだろう。そしてある日彼女の顔は腹部のようになるだろう。それからおまえは自分の上着を
彼女に掛けて彼女を育てるだろう。』
・・・・・・このように地球は神と愛する者に話す・・・・・・
  『息子たちは鉄の鎧をまとい、娘達は化粧水の香りできらめいているだろう。金がテーブルの
上に置かれている。そして子宮は最も高額の競売人へと売られるだろう。人は朽ちた悪党の残骸
に彼の遺産を委ねるだろう。
そして、すべての口は嘘ばかりで、おのおの皆の心の中に死への願いがある。そして、誘惑の山の
上で一年おきにおまえは噴火口の騒乱と騒音を伴って秘密の火を吹き出す。
いつも泳いでいるものは森に棲む野獣のように歩き出し、這って動くものは火のように飛び、壁に
棲む害虫がやってきて神の秘密の考えを暴くだろう。』
・・・・・・このように地球は地球界の君主に語る・・・・・・
さあ、マニャーラ、目覚めなさい。おまえは私に帰することをすべて知っているはずである。
おまえは、若い時代の詩を、おまえの中にある最高のものを私に与えなさい!←
MIGUEL(天に向かって手を上げながら):
私はこの地にあっては寄留者です。あなたの戒めを私に隠さないで下さい。
(Ps. CXIX,Guimel/ 詩編第119篇 ギメル)
私を遠く離れないで下さい。悩みが近づき、助ける者がいないのです。
(XXII,11)
我が魂はちりについています。み言葉に従って、私を生き返らせて下さい。
(CXIX,25、Daleth/ ダレス)
私に良い判断と知識を教えて下さい。私はあなたの戒めを信じるからです。
(CXLII,66、Teth/ テス)
どうか、我が叫びにみこころを留めて下さい。私ははなはだしく低くされています。
(CXLII,6)
私をひとやから出して下さい。
(CXLII,7)
THE SPIRIT OF HEAVEN(女性の歌う声で):ミゲル!ミゲル!
MIGUEL:私はここにいます!
(とても長い沈黙)
僧院の小さなドアがゆっくりと開く。庭師の僧侶がやってくる。彼は大変年老いていて、びっこを
ひいているように見える。彼はとても小さな歩幅で歩き、目は下の方を見ている。
ミゲルの遺骸の前へ来るやいなや、驚きのあまり耐えられず立ち止まった。
THE FRIAR GARDENER:ミゲル先生!眠っているのですか?
(彼はそっとミゲルに触れる。沈黙。ミゲルの膝の上で彼は短く祈りを述べて立ち上がり、大きく
十字架を示した)
  私は今柔らかい枝に囲まれて孤独であり、その枝がぽきぽきと折れる音は夕べの風を驚かす。
しかし、私の心は雪解けを待つ雪に覆われた地面を覚えている巣のようにあたたかい。なぜなら、
私のすべては定められた正しい場所にあり、定められた終着点に向かって進み、すなわち知恵に
よって約束された場所<称えられし天国>は私たちの知恵ではない。
(彼はミゲルの穏やかな顔をいつまでもずっと、じっと見つめていた。彼はその粗末な毛織りの
頭巾を欲しがった。)
あなたの弟がここにいます、Magdalen.(マグダラのマリア;ルカ伝)
あなたの弟がここにいます、Theresa。
アーメン。

                                       CURTAIN



→  〜  ← は”Apocalypse"の歌詞になっている。



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