V.エバルドと4つの五重奏曲
ANDRE M.Smith

 V.エバルドは、ロマン主義時代から、金管五重奏曲を傑出している代表的な作曲家である。彼は、1860年11月27日、ロシアのサンクトペテルスブルグに生まれました。この当時、ヨーロッパ中、国家主義が発生していて民族の感情の目覚めに導いた。このことは、音楽を含めすべての芸術に表された。エバルドが青年だった頃の目立った作曲家たちは、結局ロシア音楽を世界に広めることとなった。これらの中でもっとも目立ったのは、P.チャイコフスキーだった。  彼の時代の多くの作曲家がそうであったように・・・音楽はエバルドの副業だった。彼は、生涯、民間の技術者として早くから訓練を受けていた。そして彼の完全な職業生活はサンクトペテルスブルクの土木工学の大学に結びついていた。技術者としての彼の影響ははかりしれない。200以上の科学的な論文とおよそ40年間ロシア中で使用された2冊の教科書の著者としてエバルドは、第二次世界大戦の始めまでロシアの土木工学のコースを決定するのを助けた。

 工学におけるすべての業績に関して、またアマチュアミュージシャンとして彼の名前は歴史を生きている。彼は、およそ1890年から1904年頃までサンクトペテルスブルクで最も有力なストリングカルテットのチェリストだった。このカルテットは結局このカルテットの裕福なビオラ奏者M.ベリャーエフによって結成され多くのレビュー性を与えた。エバルドは人生の大半はチェリストだったが、長い間金管奏者でもあった。

 エバルドは、1872年にサンクトペテルスブルク音楽学校でコルネットの勉強を始めた。さらに彼は、トランペット、チューバ、チェロおよびピアノを研究対象に加えた。彼は、短い生涯の中、オーケストラや室内楽で演奏した。金管アンサンブルに興味をもった当初、エバルドがトランペットを吹くことが知られていたが、すぐにチューバに転向した。彼は、室内楽に興味をもちはじめたころから分かりやすい作品の中心となる旋律の作曲に対する才能をもっていた。

 プレーヤーであるとともに作曲家として彼が等しい位置にいたという重要性は、あまり知られてない事実(現代の金管五重奏曲を作り出したのエヴァルドだった)である。19世紀の初めから20世紀の中頃まで金管アンサンブルとは、種々の理由で一緒に持ってくることができた金管楽器で演奏していた寄せ集めののことだった。エバルドは、2つのソプラノ、アルト、テノール及びバスの五重奏が、金管楽器が特に手際だった広い範囲と感情的は色彩を伝えるためのに最もよく合う編成であることをあみだした。彼は、楽器のこの組み合わせのために4つの五重奏曲を作曲することによって、自分の信念を貫いた。彼は4つの五重奏曲を書いて、彼が生きているうちに一つだけ出版された。これらの五重奏曲は古典的なモデルで作曲された最初の作品であり、すべての作品の中で独立した作品として完成されたものである。

 バルブ楽器のためにエバルドは、1890年頃に最初の五重奏曲を書いて、音楽家としてエバルドよりも君臨された者(作曲家としてより経験を積んだ者)によって書かれた幾つかの異なった金管楽器のより小さな編成があったが、自ら割り当てた責任は、あたかも彼が、彼の好んだ楽器にレパートリーを提供するために、金管奏者として存在することであるかに思える。

 エバルドは生涯を通して、彼の地元でおそらくすべての作曲家(そして多くのそのような人々)が音楽仲間であり友人であった。またエバルドは、彼の音楽での努力においてそれらの親しい仲間によって奨励された。彼は、リムスキー=コルサコフとアレクサンダー・グラズノフと一緒に室内楽を演奏した。最も親しい仲間の一人は、ブルーメンフィールドというウラディミール・ホロビッツのピアノの教師だった。後の人生でエバルドは、ペテルスブルグで作曲活動に励んだ。エバルドは母校のペテルスブルク音楽学校の学生で、音楽家としてまだ若かったプロコフィエフとショスタコービッチに出会った。

 1917年のロシア革命の後、ロシアのほとんどの音楽アンサンブルが崩れた。ロシア革命のあと、第一次世界大戦とロシアの南北戦争が続いた。8年間の戦争が続いた後に、以前のロシア文化のほとんどすべてが破壊された。そのほとんどが、ソ連が新しい国家に変わるその後10年間に忘れ去られた。今回も、ソ連は外の世界から自分を社会的に故意に政治的、経済的に隔離した。これらのすべての10年間の間の隆起と孤立の中にエバルドの3つの未発表の五重奏曲が忘れ去られた状態で眠っていて、ニューヨークで1974年に復活するまで演奏されることはなかった。そのとき以来エバルドの五重奏曲は、世界中で人気が衰えることのない作品であり続けている。

 エバルドの愛情(話がわかって)金管楽器に対するエバルドの愛情と理解は、4つの五重奏曲を通じてそれがなによりの証拠である。金管五重奏曲第4番は並外れた技術と耐久性を必要とするが、その4番を除いた他の作品は、平凡な技量の音楽家にとっても演奏することができるし、または同時にその音楽家は、最も高度な表現者として音楽の挑戦を促すことができる。この点に関してエバルドは、モーツアルトやハイドン(彼らの偉大なる音楽には室内楽のために書かれた物がありまた200年以上もの間アマチュアにも演奏されているが)のような偉大なるクラシック音楽界の大家と共通の部分をもっている。限られた技量の音楽家にとって近づきやすく、またプレーヤーが持っている最高の技術を引き出すエバルドの音楽は、天才的なアマチュア作曲家でありピアニストでありチェリストでありトランペット、コルネット、そしてチューバ奏者であったエバルドの誘導的なアイデアの一つだったのかもしれない。
(担当:北村 美繁)

(参考文献)
Smith Androw: "The Four Brass Quintets of Victor Ewald." ITG Journal 18, no.4(May 1994): p33.

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