作曲の歴史や４つの金管五重奏の初期の演奏は、その大部分は逸話である。もっとも近いものは最初の2つの初期の環境の回復に至ることができる。その2つというのは、最初の五重奏が書かれた時、またはエヴァルドの娘むこが数秒でそれらの知識を思いついたことを除けば、まだ生まれていなかった個々の記憶が基にされるであろう。４つの五重奏の最後の２つの歴史はもう少し確かである。 大きな混乱の原因の一つはいわゆる4番目の五重奏に関係している。カーネギーホールでのシリーズでアメリカンブラスクインテットによるコンサートのために私が用意していたのはクインテットのラストであり、それははじめから「4番目」と数えられた。しかし、私の講義においてその最初の演奏を明らかにしたので、事実、それが1番目の五重奏（図6）である。
まもなくエヴァルドがチェロ奏者としてベリャーエフ四重奏に参加した後、彼は(セイントペテルスブルグ音楽学校でリムスキーコルサコフの前の生徒であった)Nikorai Alexandrovich Sokolov(1859 - 1922)と一緒に作曲を勉強し始めた。その後はSokolovの激励やリムスキーの積極的な主張を受け、エヴァルドは彼の初の長編楽曲を書いた。楽器のために書かれた彼は最高の演奏をし大変気に入った、これは彼の最初の金管五重奏だった。演奏家への要求は、楽曲はチューバ吹きのエヴァルドでさえ演奏できないものだった。彼はブラステクニックのすべての研究をしすぎていた。何年か後、エヴァルドは息子に言った。(Yergeny Gippius 1903 - 85)このブラスクインテットは偉大なベルリンコルネット奏者(Julius Kosleck)や、トランペット名人Oscar Bohme(トランペットとオーケストラのためのop18短調でのコルネットは現代からその種の楽曲が残っている)のいるセントペテルスブルグの公衆の演奏に単純な印象があった。最初の金管五重奏は失敗と考えられた。それはしばらくの間元気がなかった。そして、String Quarterとしてエヴァルドにより作り直された。1893年この楽曲の新しい形は、エヴァルドによりBelqierがスポンサーの作曲コンテストに提出された。それは3割？？？審査された。
3人の審査員は、チャイコフスキー、リムスキー、そして、Herman Laroche(1845 - 1904)だった。リムスキーは、カルテットの審査は3月に催されるセントペテルスブルグカルテット協会に送られたと思い出した。このときこの競争はだれでもなくロシア人に公開された。そしてお金がM.P.Byelyareffによって与えられた。チャイコフスキーやLarocheと共に私は審査員の一人だった。少しもカルテットは提出されなかった。私たちは3番目のランクの２つの賞に気づいた(知った？)。一方は私の前者の生徒へ行った。Alyeksey, Avgustovich, Davidoff(Ivan a Davidoffの兄、私の生徒の一人でもある、そして以前に話に出したことがある)一方では、エヴァルド(ベリャーエフカルテットのチェロ奏者である）へ行った。このように二人はベリャーエフのサークルの作曲家の名前の長い名簿よりむしろ加えられた。カルテットは両方とも秩序だった方法に書かれた。しかし、この他は何も知らない。3番目の共同勝者として、それは弦楽カルテットの発表された形態だった。op1この作曲は、人類が忘れられないよう永久の記録に正しく記された。
Mary Rasmussenは1957年に次のように書いた「私たちは奏者として弦楽カルテットの作曲家としてのエヴァルドの活躍についてはたくさん知っているけれども、私たちは金管音楽を書く理由を知らない。」以前から彼女はエヴァルドが金管のために４つの五重奏を書いていたのをずっと知っていたので、彼女の言うことは正しいだろう。彼の理由についての答えはこの人達(エヴァルドを個人的に知った人や、私たちに彼の影響を指導できる人や、彼の主な友達)から私たちへくるだろう。
エヴァルドの幼少時代から、セントペテルスブルグで抜群の金管ソロ楽器は、コルネットだった。エヴァルドの最初のコルネットの先生Wilhelm Wurn(1826 - 1904)は、立派なソリストで、作曲家で、軍の音楽の編集者だった。彼は70歳過ぎの1890年代中ごろまでコルネット演奏と指揮を続けた。Wurnは出世した先生で、ドイツ様式でスタイリストとして影響を及ぼした。Arbanが1873年の夏の初め、7日間連続して大きな興奮を呼び起こしたのは、セントペテルスブルグのドイツ金管団体においてだった。
国立のオーケストラは、明細に記された協定を認めている専門のアンサンブルです。交響楽団を含めいくつかの種類のアマチュアアンサンブルは、これらの協定に大きな自由を与えた。ときどき彼らを全く無視し？？？？クラリネットはバイオリンパートを演奏してもいいし、チューバはチェロパートを演奏してもよい。そして偉大な師匠は侮辱にも関わらず生き残っている。(もし本当だとしたら)歴史の中で金管演奏者の圧倒的な数はずっとアマチュアです。音楽を演奏するための音楽家の唯一の願いは、理想は、ベストをつくして彼らを演奏から守る関係により自由になることだった。セントペテルスブルグのアマチュア音楽家はこの基準に例外はなかった。柔軟な芸術の題材の展性の中で、Alexandr Vesnin(1883 - 1959)の明確な真実は平等に音楽に適合する。 芸術家は本当に題材を扱っている。しかし、芸術家の活動の本質は題材をよく練るという事実ではない。それは彼らに内面的な芸術家の真意を与える題材のある組織の中にある。
一生涯を超えて歳をとるまでエヴァルドはコルネット、トランペット、チューバ、チェロ、ピアノを演奏した。彼の音楽は長いアマチュアの伝統から生じた。ヨーロッパでは活力を保有しているが、その形ではアメリカではほぼ消えた。全ての観点からは私たちは伝統を知り、エヴァルドの観点からは私たちは彼の主な心配が、彼が徹底的によく知っている美の理想がずっと真実のままであるということを憶測しなければならない。私たちはアマチュアの伝統から指摘を受けていないので、理想は彼の選んだ楽器を演奏している有能な演奏者のランクから除外することだろう。私たちは、エヴァルドが楽器を演奏している音楽家より彼の音楽の演奏の意義を表わしていた、ということを信じられる理由がない。エヴァルドは彼の弦楽をピアノと4本の手での演奏にアレンジしたピアニストとして才能の証拠もあった。???????。私たちは一つの写真が、金管楽器の組み合わせがエヴァルドや同時代の人により神聖に定着したという結論の、根拠となるべきということを認められない。
(担当：井田)
ロシアでは歴史上、ピストン楽器とロータリー楽器のいずれが優勢というわけでもない。アルバン(＝アーバン)とその同僚たちが夏にセントペテルスブルグでピストン式コルネットを演奏した七年間、現地の流行としてはロータリー・バルブのほうが好まれていた。このように二種類の楽器が混在し、そのことに無関心になるくらい共存しているという事態は二十世紀でも続いている。1933年10月15日、レニングラードで行われたショスタコービッチ＜ピアノ協奏曲第一番＞の初演では、一本のピストン・トランペットが用いられた（図18および図19）。その3年後、トロンボーン奏者であるウエディスラツ・ミハイロヴィッチ・ブラーゼヴィッチ(1886 - 1942)の書いた、あらゆる管楽器のための重要な教則本がモスクワで出版された。この教則本ではロータリー楽器にもピストン楽器にも同等の配慮がなされている(図20)。
ドイツとオーストリア以外の国では一般に、ロータリー・バルブはピストン・バルブよりの優れたメカニズムだと考えられている。このことは通常、二種類の合奏形態、つまり伝統的な金管バンド(これは前期二カ国のいたるところに広まっている)と、メンバーの新年によりロータリーが優位を守っている若干のオーケストラ（ベルリン・フィルとウィーン・フィルがその好例）に当てはまる。しかしながら、さらに広く中央ヨーロッパの金管楽器界を見てみれば、ロシアの場合と同じで、どちらのバルブを好むかといった考え方はあまり存在しない。このことは第二次世界大戦以後の数年間でとくに明瞭になった。
この戦争の重要な影響の一つとして、冶金および金属加工に基づくドイツ産業のほぼ全てが、当時の国家予算の軍事的需要を満たすべく修正・再編された。楽器工場もその例外ではなかった。予想通り、楽器工場は戦闘ターゲットとして深刻な被害を受けた。終戦から少なくとも1960年代の半ばまで、ドイツで使用される多くの金管楽器は必然的にイギリスやアメリカからの輸入品だった。今世紀、この両国ではピストンが主流になっている。したがって、第二次大戦後ににドイツに輸入された金管楽器はほとんどがピストン・バルブであり、現在でのドイツではそれが一般的である。アンサンブル「メディカル・ブラス」に見ることができるように、ロータリー・トランペットとピストン・トランペットは一緒に用いられている(図21)。
ロシア史に金管楽器が頻繁に登場することから、我々は金管楽器がロシア人に馴染み深いものであったと想像することができる。イラストの中に楽器が一つだけ描きこまれる場合、それはほとんど金管楽器であった。十月革命の一周年記念日レーニンを歓迎した金管バンド(らしきもの)は、なんと三本のチューバだけだったのである(図22)。
(担当：能勢、竹内)
エヴァルドのRomance pour Violincello avec piano 作品２(1894)と彼のDeux Morceau pour Viloincell avec piano 作品３(1894)と弦楽５重奏曲作品４はBeleievによる出版に対する承認の前に家族の軽蔑の陪審員の試みを通らなかった。[すいません、全然わかりませんでした。（川原）] 彼の名作、金管５重奏曲作品５もまた、出版された最後の曲となった。1900年頃に書かれたが、Belaiev(ベリャーエフ）の死と、同時にエヴァルドがチェロ奏者として参加していた彼の弦楽4重奏団の解散から８年たった1912年になってライプチッヒのM.P.Belaievによって出版された。 なぜなら、作品５は4つの金管５重奏曲の中で唯一、エヴァルドの生涯の間に出版された曲であり、1974年になるまでeエヴァルドによる金管５重奏曲はこの作品５だけだと思われており、彼の名声と評価もこの作品５によるものだけだったためである。
エヴァルドによる作品全体は全部で８つ（そのうちの一つである弦楽４重奏曲は２つの形態が存在する ）と数が少ない。何十年もの間、世界中の出版物、図書目録の見出し、出版者のカタログ、印刷物 [原文：printed edition ]、歴史書などなどには、エヴァルドの金管５重奏曲作品５は彼が作曲した唯一の金管５重奏曲であると記述されていた。おそらく、エヴァルドの音楽についての正確な作曲年表は決して知ることは出来ないだろうし、そのことはとりわけ重要ではないであろう。正確な作品年表がわかったとしてもそれは、たった４つの金管楽器のための作品の作品番号をつけ直し、それによってBelaievによって出版された弦楽器のための作品の作品番号をつけ直すぐらいの目的にしか使われない。このような少数の作品について厳密な年表と作品番号を割り当てるのは重要ではないので、私はエヴァルドの全作品に対する作品番号の割り付けを以下の通り提案する。
「エヴァルドの全音楽作品」 弦楽４重奏曲 ハ短調 作品１ チェロとピアノ伴奏のためのロマンス 作品２ Deux Morceau pour Violloncell avec piano 作品３ 弦楽５重奏曲 イ長調 作品４ 金管５重奏曲第１番 変ニ短調 作品５ 金管５重奏曲第２番 変ホ短調 作品６ 金管５重奏曲第３番 変ニ短調 作品７ 金管５重奏曲第２番 変イ短調 作品８
過去２０年に渡り、少なくとも年に１０回は第４金管５重奏曲は単に弦楽４重奏曲を編曲したものであるということを説明してきた。おそらく、この小論の出版によって正しい順序を再び説明する必要がなくなるだろう。この小論の出版の後に続いて出版される、４つの金管５重奏について書かれたどんな書物でも、作品８は作品１の手直しであり、見かけ上作品番号が違う、と容易に説明できる。
およそ音楽的子孫に親密なエヴァルドが第２金管５重奏作品６の作曲に時間を費やしたのは1905年の革命の直後である。1903年、当時７歳の少女だったAriadna Mikeshinaが家族とともにセント・ペテルスブルグに到着してから２年以内のうちに、作品６はエヴァルドを含む金管奏者達によって演奏されていた。1912年頃エヴァルドは第３金管５重奏作品７をおそらく彼自身がチューバを担当するFig.1に示す奏者達のために作曲した。この写真は奏者としてのエヴァルドを示している現存する唯一の写真である。彼の仲間達が誰かは明らかになっていない。おそらくエヴァルドはBelaievによって作品５が出版された後、再び金管楽器にために作曲する気になったのだろう。
最初のきっかけは、エヴァルドが金管のための５重奏曲を２つ以上作曲した作曲家であり、また私が作曲家としてエヴァルドを紹介したことであった。1950年ワシントンにある国会図書館(LC)でロシア音楽と音楽家についての本を探していたとき、Alexandria Vondarsky-Shiraeffが書いたロシアの作曲家と音楽家という本が目に止まった。
彼女は４３ページにエヴァルドについて”彼は２つの金管５重奏曲を作曲した”と記述した。（Fig 23）彼女の記述は何かしら混同しており、おそらく同じ楽曲に対する違う出所から知らずに２つの違う形で記述されている。（同様の混同が1971年Nicolas Slonimsky によって書かれたBakerの論文に対する補稿の中にあるエヴァルドについての記述の中にある）Vondarsky-Shiraeffの記述が正しいかどうか、彼女の論文について調べることになったが、それは1958年私が、ワシントンD.C.に引っ越してきたModest Altschuler(1873-1963)に会うまで実を結ばなかった。Altshulerは私が会った人物の中で初めてエヴァルドについて個人的に知っている人物だった。彼は今世紀はじめにSaint Petersburgに短期間滞在したときに、エヴァルドと他のBelaievの仲間の作曲家と知り合いになった。当時Altschulerは新しく創設したロシア交響楽団(1904-16)のカーネギーホールでの演奏会で演奏するロシア人による新しい曲を積極的に探していた。とりわけ彼の若い頃、知られていない人気作曲家がラフマニノフ(1873-1943)とスクリャービン(1872-1915)であり２人ともエバルドの友人だった(Fig 26)。当時スクリャービンの主たる出版者がBelaievだった。
1950年から1963年にGustave Reese(1899-1977)(Fig 27)のために働き始めるまでの間、私はロシアにいる誰とも十分に交流を確立する方法を見つけることができなかった。この期間、４人のソビエト連邦共産党の議長 Stalin,Malenkov,Khrushev,Brezhnevが就任している間、何十年間もUSSRは本質的に外部に対して、ソビエト市民以外の者に対して閉鎖的であった。[これまたどう訳したらいいのかわかりません（川原）]私がReeseのために働き始めた直後に、私は彼と親密な関係にあった世界中の仲間と親しくなった。私は彼にエヴァルドの生涯と彼の作品についての詳細とロシアの室内楽について興味があることを話した。Reeseは偉大なロシア人による独唱やオペラ、交響楽団といった、より知られた音楽に慣れ親しんでいたために、この音楽の分野[ロシアの室内楽について？(川原)]については、表面的なことだけしか知らず、ブラスについてはまったくではあったが、彼は、不変の興味をもち続けていた。Reeseと幾度か議論を交した後、彼は私に彼の友人であるニューヨークにあるクイーンカレッジの音楽教授Boris Schwarts(1906-83)(Fig 28)教授をたずねていき、彼に助言を頼むことを提案した。Schwartsはセント・ペテルスブルグに生まれ、子供の頃ドイツに移り住むためにロシアを離れたが、彼はロシアの文化に興味を持ち続け彼の興味を共有するすべての人を知っていた。最も興味を持っていたのがロシアの音楽についてであり、彼はこのことについて幅広く書いていた。Schwartsはエヴァルドの名前を知っていたが、それ以上は何もなかった。彼と長年に渡って親しく文通していたロシアにいる仲間の一人がVictor Belaiev(1888-1968)であり、彼はエヴァルドの友人３人すなわちAnatoli Liadov(1855-1914）Joseph Wihtol(1863-1936) (Fig 29) Alexander Glazunov(1865-1936)(Fig30)と共に勉強したのだった。Belaiev はSchwartsにエヴァルドによる複数の金管５重奏曲の存在は知っているがそれらについて個人的に知識を持っていないと書いている。Belaievは彼自身の手によりエヴァルドの娘の夫、Yevgeny Gippius(Fig 31)に手紙を書いた。彼は、直接Schwartsnにエヴァルドの手書きの原稿を持っていると手紙を書いた。SchwartsとGippiusと私との間で何度か説明のやりとりがあった後、エヴァルドの金管５重奏曲第２、第３、第４番の手書きの原稿がGippiusによって彼のコレクションからニューヨークにいる私の元に寄贈された。
(担当：川原)
これらのクインテット（NO.2,3,4）が，表面上Ewaldによって作曲され，彼の義理の息子から直接受け取ったものであるということは，これら作品が実際にEwaldによって作曲されたことの十分な状況証拠となった。しかし，仮にこれらの新作品が，近代のブラスクインテットの起源や発展の全くの再評価の基礎であったなら，状況証拠自体が希望や見込みによるうわべの主張以上のものではなくなってしまう。Ewaldが書いた，まだ知られていない３つのクインテットが私のもとにあるという話は，ジュリアードに広がり，ついにはニューヨークのブラスコミュニティにまで完全に広まった。あるグループ，そしてまた別のグループが，その新曲の最初の近代楽器の演奏会，そして西側での初演という名声を得るために新曲を共有しようと私のところによく頼みに来，またときには嘆願されたこともあった。この要求に対する私の断りの説明は親切なものではなかったので，わがままだとかいう噂が広がり始めた。私は，このような反応や，他人の突発的な興味などは無視し，この３つのクインテットを確証する作業に専念しなければならなかった。Schwaltzを通じてGippiusとの文通を続けたことや，私のその後９年間の研究に加えて，，いくつか重要な点で仮説に基づいてはいるが，Ewaldの４つのブラスクインテットの有益な歴史に至ることができたのは，５人の音楽家の惜しみない助力に寄るところが大きかった。彼らは，１０月革命（1917年）より先んじて，ロシア室内楽のほとんど文章化されていない入り組んだものを通して私を導いてくれた。
まず理解しておくべきことは，Belaievによって出版された作品の表示に印刷された出版年は，その曲が作曲された年とは既知の関係は全くないということである。２つの例がこのポイントを十分説明するだろう。Fig.32は，Belaievによって出版されたLes VendredisのVolume2の表紙である。出版年1899年がページの下部付近に印刷されてある。第３楽章の作曲者であるAlexander Borodinはそれより１２年前，1887年に死亡した。GlazunovのIn mode religioso op.38(Fig.33)の表紙には，出版年は1893年とある。Ewaldがこの曲のトランペットパートを演奏したこのカルテットは，Ewaldが第１番のクインテットを作曲したと思われるときよりも前に作曲されたものとGippiusは信じた。つまり，1890年より前である。このことは驚くことではなく，その当時行ったり来たりしていたアマチュアの集まりにとっては，記録を管理することは有用な目的にはかなわなかった。いくつかの例外はあるが，たいていアマチュアの手で管理される記録の類については，楽しい回想のための記念として分類されるものである。Glazunovのカルテットは献呈されたCharles Sadowskyは，Rimsky KorsakovのCapriccio espagnole op.34を初演したロシア帝国オペラのオーケストラの一員であった。(Fig.34) Belaievによって出版された年がそのイベントと関係があり，それ以外の何でもないことがわかってしまうと，Ewaldの作品が作曲された年を確証する努力は，記憶やその他の外部状況に退いてしまわざるを得ない。（Belaievによって出版された彼の年代の作曲家の多く）The Modern History of Ewald's Quintets Skewed（Ewaldのクインテットの歪んだ近代史）
「EwaldのクインテットNO.2,3の再発見は，大部分がエンパイアブラスクインテットによると信じられるべきである。エンパイアはオスロで，ホルンの名手であるF.R.Wekreにガーシュウィンの作品のメドレーと交換に，Ewaldの曲の手書きコピーを手に入れたのである。Wekreは。ソビエトのホルンプレイヤーとともに勉強のためレニングラードを旅したときにスコアを手に入れたのであった。」前述のような，ロシアとソビエトの作曲家たちの話題の，より有用な参考書に確実になるといううわさ話の入口により，Ewaldとそのクインテットの研究は，予備知識のない読者のためにおそらく20年遅れた。論文の中でReedはこう書いている。「合衆国とソ連との間には，今日（1979）でさえ，十分なコミュニケーションがとられておらず，そのためロシア室内ブラススクールが一般的に知られ，Victor Ewaldが特に不当に無名となっていた。「エンパイアブラスクインテットがEwaldのさらに２つのクインテットを再発見し，合衆国に持ってきた1976年，状況は全く変わった。」1974〜1975年のシーズンに向けて，1972年の末に準備を始める頃，アメリカンブラスクインテットは，19世紀の音楽を多く取り入れたプログラムを作成していた。そのうちいくつかは，当時の音楽家にはそれまで知られていなかったものである。このシリーズは，続くシーズンに発展し，やがて来るアメリカ200年祭の祝典にまで至る。これらのコンサートと織りまぜられたのは，ロマン派音楽の彼らの２番目のテーマであった。そのテーマは，ABQが発展することに興味を持っていた。彼らは私に，カーネギーホールでのコンサートで，Ewaldのクインテットの西側での近代最初の演奏会を準備する気があるかどうか聞いてきた。彼らの計画の重要な部分は，それぞれのコンサートで，私が講演をするということであった。私は，彼らの提案の音楽的側面，根底にある含みについて，音楽史のためにReeseと議論した。Reeseは，私が10年間かけても発見できなかったことは，単に時の経過を末だけではまず自然に明らかにはならないだろうと提案した人である。彼が信ずるに，ABQのような目立つアンサンブルによる，カーネギーホールでの初の現代楽器演奏や，著名なミュージックコラムでの演奏の批評，その後のABQのコンサートツアーの１部分としてのこれら新曲の普及，そして私の講演が，どこかで興味がもう一度出てきたり，適切な歴史的事実か音楽の新発見へと通じることであろう。さらにABQとの議論をしたあと，近い将来，Ewaldプロジェクトは進み，３つの新しいクインテットが演奏会に向けて準備されようとしていた。
(担当：鶴田)
(参考文献) Smith Androw: "The History of the Four Quintets for Brass by Victor Ewald." ITG Journal 18, no4(May 1994): pp5-32.